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2011年05月17日

対談

(*この文書は、平成22年12月に作成したものです。)

***長長文にご注意!!***


GTチャレンジ特別企画

レジェンド 大久保 幸三 ロングインタビュー


対談−【たいだん】
・ 向かい合って話し合うこと。
 また、ある事柄について二人で話し合うこと。
 対話。 
 『大辞林より』



先回までの記事は『大久保幸三GTスペシャル?』への乗船記録でしたが、
今回は大久保幸三氏と同船時に敢行したインタビューを掲載いたします。

大久保幸三氏には、GTフィッシングに関する世界観からプライベートの話題、
そして少々デリケート質問にも答えていただきました。

レジェンド大久保幸三の精神構造にまで踏み込んだロングインタビュー・・・。

読者諸兄、今までのArapediaはただのドキュメンタリーでしたが、
今回は『プロの領域』へとご案内いたします。


プロローグ

『レジェンド』という名刀は、切れ味が全くの別物である

生涯で50キロオーバーのGTをオフィシャルで50本以上も釣り上げているアングラーは、世界で何人いるのであろうか?

私が調べた範囲では、

『大久保幸三氏ただ一人』

である。









1.大久保幸三とは


 大久保 幸三(おおくぼ こうぞう)

1969年10月1日大阪府生まれ


4人姉弟の末っ子、
長男である彼の名前は、本来であれば『幸一』であったらしいのだが
『幸せがひとつではかわいそうだ、たくさん幸せになってほしい』
という理由で『幸三』と名づけられる。

幼少から釣りに親しんでおり思春期を向かえる前に、
すでにGTへのチャレンジを心に決めていたという筋金入り。

そして、釣りを極めるために、
“魚との戦場”となる『水中』を熟知するためスクーバダイビングの世界へ。
そしてインストラクターを経験した後、水中写真の世界へと飛び込む。

水中カメラマンとして生業を得ていたが、
『釣りで生きていく』ことを決意してカメラの世界から脱却。

日本でも数少ない『フィッシングオンリー』のプロである。


その後の活躍は皆様がご存知の通り、
現在のGTフィッシングのワールドレコード150cm 70kg のホルダーでもある。


つぎに容姿である。

身長約170センチ、体重は約80キロ。

異様な存在感を示す盛り上がった肩と背中、胸の筋肉、
ロッドをリフトアップするための大腿部と腓腹筋は発達しているが、
しなやかな状態であることが見て取れる。
これがGTとファイトするために、鍛え上げられた肉体である。
彼のフィールドは当然『屋外』であるため全身は褐色に日焼している状態であり、潮風を浴び続けた髪は少し茶色に変わっている。

鋭い目付きに、頑なにこだわり続ける精神を表したように一文字に伸びた唇、
常に過酷な情況に身をおこうとする決意を示すかのような少し尻上りの眉、
そして顔面の中央に位置している『狩猟生物の頂点』を意識させる荒鷲のような鼻。
GTとファイトするために必要な準備が整った身体とはこのようなものであった。

語り口は関西弁特有の『ぶっきらぼう』な印象を受けるが
(私はもともと関西人なので、さほど気にならないが)、
実際にその話しに耳を傾けると世界観の大きさに圧倒され、
いつの間にか飲み込まれてしまうため、
それが彼にとって自然な話し方であることがわかってくる。

彼のように、何事かに一心に取り組む人間を見て、

『子供がそのまま大人になったみたいだ』

と考える人もいるであろう。
しかし、そうではない。
そのような言葉で片付くほど、彼が身を置く位置は簡単な世界ではないのである。
そして、これほどまでにひとつの事柄に集中し、全身全霊を掛けて挑み、

目標を達成するために考え抜いて『大人の結論』を導くことが出来る子供などいない。

プロの中のプロという凄さを感じさせることが出来る・・・、
大久保幸三氏はそれに相応しい人物である。



2.質問と回答


アラーキー(以下Q): 「本日は海況のよろしくない中、お疲れ様でした。
             見事なファイトでしたね、
             デッキから見学していて思わず見とれましたよ。」

大久保幸三氏(以下レ): 「アラーキー、僕のどこ見てはったんですか?
                まさか・・・・。」



Q:GTフィッシングに、はじめて接触した(目指した)のはいつのことですか?

レ(以下BH):「そうですねぇ。ホンマにチャレンジした時とは別にして、
         はじめてGTの世界を知ったのは小学生のときですね。
         子供のころから『大物』を釣ることに傾倒してたんですけど、
         ある本を見て衝撃を受けたんですわ。

         その本に載っていたんが、当時のGTフィッシングなんです。
         大人が3人で挑戦する釣りとの紹介で書かれていました。

         そら衝撃ですよね、3人やないと釣れへん魚ですよ!
               
         一人がライン引張って、一人がリフトして、最後の一人が
         取り込むという信じられへん釣りやったんですわ。

         そんなん、凄過ぎますやん。

         それで僕は、『いつか必ず釣ってやろう』と心に決めましたね。」


Q:それでは初めてGTにチャレンジした時はいつですか?

BH:「 えっ、GT初体験の話しですか?

   あれは・・・(割愛)・・・それはそうと、
   そんなもん初対面の相手にする質問や無いでしょ。」


Q:あの漢字、『魚強』は個人的に神係り的な発想だと思うのですが、
  漢字が生まれた経緯を教えていただけませんか?



BH:「う〜ん、とにかくGTはめちゃくちゃ強い魚なんですよ。
   
   ホンマ強いんですわ。
   気を抜いたら一瞬で持っていかれるし、
   人間の力やったら絶対に曲がらへんフックも平気で伸ばしよる。
   『強い』意外に当てはまる漢字がありますか?

   チャレンジしてみたら解りますよ。

   あの漢字の意味がよう解ると思いますんで、
   絶対に釣ってみてくださいね。」



Q:キャスト時にラインがガイドに必要以上に擦れたり、異音がしたら、
  そのタックルは使うのを中止して、システムを組み直してましたね。




BH:「当然でしょ。

   タックルに不安が残っていたらどうなると思いますか?

   不安が脳裏にある、そんなときは絶対に身体が反応しよるんですわ。
   『ラインにキズが入ってるんとちゃうかな、もしかして切れるんちゃうかな』
   そう思った時点で身体は最大の力を発揮せえへんようになります。

   GTとのファイトはご存知の通り激しいを通り越してますやん?
   そんなときに最大限の力を発揮でけへんかったら最悪でしょ?

もし不安があったら、その時点ですでに負けてるんですわ、GTに。

   ちょっとくらいのシステム不備やったら、
   10kgまでは仕留められると思います。

   そやけど、それが50kgの奴やったらどないします?
   しかもそいつ(50kgのGT)を逃がしたら、
   むちゃくちゃ後悔すると思いますよ。

   そんなふうになるのがイヤやから、
   システムはいつでも完璧な状態にしてるんですわ。

   これは基本やと思うてます。
   さっきも言いましたけど、ルアーを投げたらどんなサイズの
   魚が来るか予想できませんからね。

   よう考えてみてください、
   次の魚がワールドレコードやったらどないします?」


Q:フィッシングオンリーの『プロ』は日本では希少かと思いますが
  (何かしらの収入を他の生業(なりわい)で得ているプロが多い)、
  やはりプレッシャーは相当なものなのでしょうか。



BH:「当然ですわ、プレッシャーは山盛りあります。(笑)

   それぞれにプレッシャーちゅうもんは着いてまわると思いますけど、
   僕の場合のそれは極端にシビアですわ。失敗が許されへんのです。

   たとえばTVの仕事ですけどね、釣らんといけないんですよ、
   ・・・絶対に釣らんといかんのですわ。 

   『今日はアカンかったなぁ、ホナまた次の機会に・・・』
   というようなことが許されないですから、
   それはもう、プレッシャー以外の何者でもないんです。

   そやけど、僕にはその辺の 『運』 があるんでしょうね。
   そうゆう(取材時などの)ときは、
   なんか知らんけど『引きが強い』んですよねぇ。

   その『引き』が僕のプロ生活の継続を支える一因
   になっていると思います。


Q:強烈なプレッシャーの中を突き進む生活を歩まれる理由は?


BH:「・・・、幸せにならんとアカンのですわ。 

   僕らの生きてる時代は恵まれてます、ホンマに。
   ちょっと前までは平和な環境でのんびりと釣りするなんて
   考えられへんかったと思います。
   『時代背景』が最悪やったでしょ。

   今までの歴史の中で、こんなに恵まれた時代は
   あらへんかったでしょ?少なくとも僕はそう思うてます。

   自分らの祖父の時代は大きい戦争やらなんやらで、
   親父の世代は食糧難やらなんやらでしょ。
   今の世の中はホンマに恵まれてますよ。

   そやから僕ら(今の時代を生きている世代)は、
   幸せにならんとアカン義務があると思うんですわ。

   (ゲームの)釣りを生業として生きていくなんて、
   生まれる時代が違えば到底出来ませんでしたよ。

   そやけど、今の時代はやろうと思うたらそれが出来るんですわ。
   そやから僕は(その義務を果たすべく)
   こんな『エッジを歩く』ような世界で泳いでいるんでしょうね。

   このことは今の時代を生きるすべての人に考えて欲しいんですけどね。
   自分ら(の世代)が幸せに生活することが、
   先の時代を生きて『今の土台』を作った人たちに出すことができる
   『唯一の答え』やと思います。

   絶対に幸せになることが、僕ら(の世代)の義務なんです。

   なんやかんやゆうて、それが一番の理由やないかと思います。」


Q:タックルを拝見したところ、ラインはPE12号、リーダーは170lpbバイトリーダーは300lpbのダブルと、強烈なシステムを使用されておられますが・・・。



BH:「結局『ラインが切れて獲れへん釣り』をしてもしゃーないですやん。
   かけたら獲る、これに尽きますね。
   それは僕のなかにある『釣りへの拘り』の柱の一つでもあります。

   細いラインで獲物を“いなして獲る”こと、
   それはそれでおもろいでしょう。

   そやけど、ラインブレイクやシステムブレイクして魚を逃がす確立は
   強固なシステムに比べたら多すぎます。
   
   上手くイナス=偶然にラインが切れなかった、

   そう考えたときには
   『偶然ランディングできた大物で喜ぶな!』
   と突っ込みたくなりますよね(笑)。

   ようするに、ラインブレイクの危険を冒してまでのファイトでは
   『本物の大物』に対峙したときに失敗する確立が大きくなりすぎるんです。

   少なくとも僕の感覚ではありませんね、
   結局は釣らへんかったら『そこですべてを失う世界の住人』には、
   無理な選択肢ですね。
   絶対に獲るシステムは、僕にとっては当り前のことなんですわ。

   70kgを仕留めたときも大丈夫なシステムやったから、
   次(のタックルの進化)まではこれで行くんとちゃいますかね。


Q:ありがとうございました、最後にArapedia読者(・・・今さらいるのか?)に向けて一言お願いします。



BH:僕の新しいDVD、
  『REJEND10 鯰伝
・・・(割愛)・・・非常にアグレッシブな内容になっていますよ!





3.大久保幸三とは(対談後)



ここには掲載しなかったが、この質問以外についても多くのことを語ってくださった。そして対談後には大久保幸三氏のイメージが大きく変わった。

私の中の『釣りのプロのイメージ』を、大久保幸三氏は大きく裏切ったのである。

今までの私は、『大物釣り師』といえば豪快かつ不遜な性格、大酒のみで、常に一発を狙っている・・・(完全にアメリカ映画のステレオタイプなイメージだが)そんな感じの『人種』を想像していた。

しかし違った・・・。

完全なまでにストイックで、言葉には出さないが、常に自分の周囲360度に敬意を払っている。感謝の念と周囲への心遣い、気配りが行き届いているのである。

 対談後のイメージは次のようになった。


釣りのプロ=趣味の世界のプロではなく、 

釣りのプロ=一流アスリートと同類である。


某局で『プロフェッショナルとは―?』という質問で終わる番組があるが(個人的に好きな番組である)、毎回のごとく出演者は感心する答えをおっしゃる。


もしもこの質問が私にあったとすれば(まずありませんが(笑))、こう答えるであろう。


『う〜ん・・・、大久保幸三氏と少しだけ話しをされてみれば?』


エピローグ



対談から数日後のことである。
私は仕事帰りに、マンブーキャプテンの家に呼ばれた。

大久保幸三氏、カツオ氏、マンブーキャプテン、そして“小さなプロ”赤侍が集まって釣り談義をしているので、顔を出せとのことであった。

『アラーキー、ゆ、油性のペンを買ってきて。き、金色か銀色がいいなぁ。』

誘いを受けた電話の最後のくだりに「完全に萎縮しているとき」の赤侍の声がきこえた。


近所のスーパーで油性と水性顔料のペンを購入し、マンブーキャプテンの自宅に向かう。

ハンドルを握る私の脳裏には、GT界のビッグネームに囲まれ、

視線をウロウロとさせながら股間をいじり続けている赤侍の様子が鮮明に浮かんでいた。


キャプテンの自宅に到着、玄関から声をかけると『奥の部屋まで勝手に入って来い』と男らしい返答が響く。
のんきに踏み入れたマンブーキャプテンの奥の座敷には、思わず『引き返そうか・・・。』という重苦しい雰囲気が漂っていた。

半裸で砕けた姿勢の男性が3人、そして
部屋の隅に正座している赤侍・・・。


上半身裸のカツオ氏が私に向かって、赤侍の隣のスペースをあごで指した。
私は無言で赤侍の横に正座した。

『まるで中学時代の先輩の呼び出しみたいじゃないか・・・。釣り談義ではなかったのか?なぜ私がココにいるのか?』

すぐにでもこの場を立ち去りたい衝動にかられる。
しかしこの顛末も見てみたいという黒い欲望が私の中で葛藤を繰り返す。

TVからはレジェンドのDVDが流れている、パプアンバスを狙っている映像だ。

『こん時も苦労したんやぁ。釣れへんのちゃうか思うて、焦ったわぁ。』

レジェンドがボソリと呟く。

赤侍は正座したまま、レジェンドの横顔を ウットリとした眼差し で見つめている。

『アラーキー、ペンを買ってきたか?』

レジェンドが私に問いかける。

『はい、金色と銀色。そして油性の白色を買ってきました。サイン用ですよね?』

私は袋から購入したばかりのペンをレジェンドに差し出す。

『アラーキー、どこかにサインしようか?』

『はい、それではこのノートの裏表紙に書いてください。いつでも眺めることが出来ますから!』

私がバックから、愛用している手帳を取り出してページを開いてレジェンドに手渡した。

『ココでええの?赤侍はもっとちゃうとこにサイン欲しがりよったけどなぁ・・・。』

レジェンドは手帳の裏表紙にサインを書きながら赤侍の方向に目をやった。
ふと赤侍を見ると、赤侍は頬を赤らめてモジモジとした動作をさらに加速させている。




『・・・こ、こいつ、
 もしかして・・・。』




私の脳裏に劣悪な想像が過ぎる。

一般的には『常識の範疇』とされるものを超越してしまうと『非常識』または『異常』という言葉が使われる。
その『異常』すら超越してしまうと、いつのまにか『未知』という高尚な言葉になぜか摩り替えられる。

赤侍は、『未知』という人間の非常識の範疇をはるかに超越してしまう世界の住人だ。
チ◎コにサインをねだるのであれば、『非常識の範疇』にかろうじて留まっている。
私は手のひらに滲んでくるイヤな汗を感じながら、おそるおそる赤侍に問うてみた。

『あ、赤侍。もしかして、チ◎コにサインをしてもらったのか!?』

赤侍はますますモジリモジリとしながら無言で首を横に振る。

『・・・チ◎コではない・・・、とすれば?』

チ◎コでないとすればもはや『未知の領域』だ。
私の想像力(常識および非常識の範疇)では追いつくことが出来ない。

『・・・ココに・・・。』

赤侍はボソリといいながらTシャツをめくり、薄汚い右の乳首を私に見せる。

『なんで乳首を見せるの?・・・何も書いてないじゃないか??』

首をかしげながら質問する私に、持っていたビール缶を机においたマンブーキャプテンが拡大鏡を差し出す。

『ま、まさか・・・。レジェンドは、そ、そんなことまで・・・!?』




米粒に写経する職人がいる。


右目に拡大鏡をつけて毛の先ほどの筆を使って米粒に文字を書き込んでいくという『ジャパン・ヒストリーの継承者』たる職人が持つ特殊技術をレジェンドは体得しているのであろうか。

赤侍の直径2ミリほどの薄汚い乳首の先を拡大鏡で覗き込むと、そこには力強い言葉が書き込まれていた。



〜抜粋〜

『赤侍さんへ  
最近GTを始められたそうですね、頑張ってGT道を歩んでください。
ところでこれからの季節GTが厳しくなりますが、諦めずにゆっくりと挑んでみてください。

それと、時々連絡してもいいかな?
知ってのとおり、僕は内地に住んでいるので・・(中略)・・・って思うんだ。
わかったかな? 

愛を込めて カツオ』



『・・・って、カツオ!?これはカツオさんの「少々恋ごころのこもった」プチラブレターじゃないか?あんたたち、変態かい?・・・となると、こちらか!』

私が乱暴に赤侍のTシャツを剥ぎ取り、左の乳首に拡大鏡をあてようとする。

『イヤだい!イヤだい!アラーキーには見られたくない!いや見せたくないんだモン!』

私は激しく抵抗する赤侍の頬を右手で張り倒して、グタリと力を失ったのを見計らってからゆっくりと左の乳首の先を拡大鏡で覗き込んだ。


〜全文〜

『こんなところに、こんな文字の大きさでサイン書かせるな、このド変態がっ!! 大久保幸三』


・・果たしてこれはサインなのか? 


新手のSMカップルのプレイじゃないのか?

意味不明で難解なココロに湧き上がる疑問。


私は大きな息をひとつはいて心を落ち着かせてから、レジェンドに問いかけた。

『レジェンド・・・。もしかして、大久保軍団のメンバーの乳首の先にはこのようなサイン(プレイ)が施されているのですか?』

レジェンドは流れているDVDを見つめながら、私の質問にぶっきらぼうに答える。

『サインを書く部位は、それぞれ個人の要求に応じているだけや。例えばお前は手帳に(サインを)してくれ言うたやろ?そやから書いたんや。それが乳首の先であろうとチンコであろうと、僕は拒否せーへんだけやないか、なんかおかしいか?』



デ、デカイ・・・、人間がデカイ。

私には返す言葉が見つからなかった。

その直後、私の中に踏み込んではいけない領域を覗き込んでみたい衝動が走る。

マンブーキャプテンの乳首には?八木さんの、カツオさんの乳首にはなんと記されているのか?・・・知りたい、・・・確認したい。
意を決して、おそるおそるマンブーキャプテンに尋ねてみる。

『あの、その・・・、マンブーさんは・・・』

『俺はヘンなところに(サインを)欲しがってないよ。チョコチョコ合うのにサインをねだる必要もないしなぁ』

マンブーさんは、少し目線を上にして答えた。

『・・・そうなんですか。すこし、ホッとしました。』

安堵の空気が流れた瞬間に、私の視界の隅にモゾリモゾリと動く不気味なしぐさが映りこむ。


カツオ氏が下着を脱いでいる・・・。

『カツオ氏は上半身がすでに裸であったから、・・・やはり全裸か。見たくない。』

私は自分の左方向で発生している、私に向けられた小さなテロに気がつかない振りを続ける。

『おい・・・。・・・おい、アラーキー。おい・・・。』

ボソリボソリと私に呼びかけながら、自分のお尻を両手で広げ、私ににじり寄ってくるカツオ氏はまるで 触れてはいけない暗黒の塊 のように思えた。

『カツオさん、結構です。知りたいと思った私が愚か者でした。・・・許してください、お願いします。』

暗黒の世界に包み込まれようとする私の姿から、マンブーキャプテンはそっと目線を外した。
カツオ氏はボソリボソリと呟きながら私の方向ににじり寄ってくる。

『・・・俺の場合、しっかりと両手で広げないと確認できないんだ。通常(の状態)はシワになっているから・・・。そのシワの一本いっぽんに・・・。』

耐え切れずに私はレジェンドに助けを求める。

『レジェンド、なぜこんなポーズをとり続ける人の そんなところにまで サインをするのですかっ!しかもその部位は 鏡を使わないと読めない でしょ!この状況から助けてください。』

レジェンドはDVDが流れるTV画面から目を離さずにボソリと呟く。

『風呂に・・・、入ってこようかな。』

何事も起っていないような雰囲気で、レジェンドは立ち上がってマンブーキャプテンの家の風呂へと向かった。

力なくうなだれる私の背後から赤侍が忍び寄り、私の両腕を抱え込んで身体の自由を奪おうとする。

『や、やめろ!止めてくれ赤侍!さっきのことは心から謝る、お願いだ!お、お願いだ、助けてくれ!』

私は必死にもがいて、赤侍の拘束から逃れようとした。しかし赤侍のそれは、簡単に解けるほどの『手心』は全く備わっていなかったのである。

『マ、マンブーさん!お、お願いします!お願いします!!』

この場所にいる唯一の常識人であろうマンブーキャプテンに、助けを請う。

キャプテンはゆっくりと立ち上がって、私と赤侍、そして肛門を広げながらにじり寄ってくるカツオ氏がいるスペースへと向かってきた。

キャプテンは床に落ちている拡大鏡を拾い上げ、無言でそれを私の右目にあてた。私の一縷の希望は打ち砕かれたのである。

『・・・そ、そんな・・・。』

完全に抵抗の力を失った私の面前に、両手で尻を広げたカツオ氏が後ろ向きに近寄ってきた。
しかもその部位からは、意味不明な『青色の液体』がこぼれている様子が確認できる。

・・・これを直視してしまうと死ぬ・・・、殺人級だ!と本能が危機回避行動を起こそうとする。

視線をTV画面に移すと、流れているDVDの映像ではちょうどレジェンドが15Kgオーバーのパプアンバスを釣り上げていた。

『・・・あ、最後には、キチリと釣り上げたんだ・・・。』

目の前の現実から逃れようとする私の精神。

そして目線を正面に戻すと、暗く重い、触れてはいけない領域が迫っている。
私は少しの間目を閉じたあと、深く息を吸って大きく目を見開いた。

意を決したのである、地獄を見てやろうという・・・。
芽生えた小さな好奇心に対して、後悔するには半時ばかり遅すぎたのである。

そのとき、私の脳裏にある記憶が呼び起こされた。


『カツオ・・・汁・・・。』


抵抗をやめた私に油断していた赤侍のアームロックを振りほどき、テーブルの上にあったライターを正面に迫るカツオ氏の肛門に近づけた。
案の定、カツオ汁は速攻で着火し、カツオ氏の全身に青白い炎が瞬く間に広がる。


『おほほほほほぅぅぅぅぅぅぅ!!』


ブシュッ!ブシュッ!!


カツオ氏は恍惚の表情を浮かべ、勢い良く火の付いたカツオ汁を噴出させまくる。

火の付いたカツオ汁はマンブーキャプテンにも引火する、もちろん赤侍も炎上していた。
赤侍は、むしろ 浴びに行った と言う方が正しい表現であった。


私は、間一髪で引火を免れてマンブーキャプテンの部屋からなんとか逃れることが出来た。

『もしもし、・・・聞こえますか? 4人の変質者がいます。ええ、4人です。住所は・・・・』






そして、迷うことなく 沖縄県警に通報 した。


あの3人は、きっとまだ 変な汁 を浴びせ合いながらはしゃいでいるに違いない・・・。

マンブーキャプテン家の前の道路にしばらく突っ立っていると、現場に急行してくるパトカーのサイレン音がようやく聞こえてきた。

『危なかった、もう少しで大惨事になるところであった・・・。』

私は胸をなでおろしながら、マンブーキャプテンの家を後にしようと振り返った。

振り返った目線の先には、
ビキニの下着を着けた風呂あがりのレジェンド
が、タオルを首に巻いて私を見つめていた。

『レ、レジェンド・・・。いつの間にお風呂から上がられたのですか?』

まったく的を得ない私の質問に対して、レジェンドからは、無言で見つめるという不気味な返答が来た。
その視線は確実に獲物を狙っている様子であり、眼球が赤く光り暗闇へ逃げることすら許されないことがわかった。

少しだけ、この世の果てを見た気がした。


〜終わり〜


Tunde by 変体烏賊書房






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Posted by 巨匠アラーキー at 10:25│Comments(16)さ行
この記事へのコメント
途中までとても良かった。
だのになぜ?
絶対にエピローグは要らなかった。

しかしあの日の夜の
カツオさん・マンブ~さん半裸
レジェンドパンツ一丁は
今でも夢だったんじゃないかと思ってる(爆
Posted by 赤侍 at 2011年05月17日 11:00
い〜ねッ うん い〜ねッ
嫁さん腹抱えてた
有難うございます。
そして…
南無妙法蓮華経…
Posted by 白龍 at 2011年05月17日 22:56
>赤侍
>途中までとても良かった。だのになぜ?
>絶対にエピローグは要らなかった。


本文はフィクション、エピローグこそが『ノンフィクション』なので、

エピローグは絶対に必要でした!


>レジェンドパンツ一丁は
>今でも夢だったんじゃないかと思ってる(爆


えっ、レジェンドがパンツ一丁?夢では?
たしかレジェンドは下半身露出してましたよ。

LEGEND10 鯰伝説2 の発売イベントに
『脱ぎやすい服装』や『タンクトップですでに乳首を露出』して並んでいる変態がいれば良いですよね!

ね、赤侍先輩!


ちなみに『REJEND10 鯰と女』はAVですよね(笑)


いつも原案提供ありがとうございます!赤侍先輩!
Posted by 巨匠アラーキー at 2011年05月18日 10:42
>白龍プロ

あなたもプロでしたね、白龍さん。

マグロ縛り油地獄や、米国人とマヒマヒ。し、締まるっ米国人!

などなど、竿師、いや漁師の仕事もセクシー、いやワイルドですね。


鮪とわたし、やセイイカでイク・・・などの巨編を待ち侘びております!
Posted by 巨匠アラーキー at 2011年05月18日 12:33
アラーキー、この長編ルポに腐心している間に、太刀魚シーズンは終焉を迎えてしまいました。
今シーズンはトップ縛りという道場からの課題を貴方は反古にしたのです。
来シーズンの新たな課題は決っています。
全裸で卒業を目指して下さい。
Posted by rikierikie at 2011年05月20日 12:44
【か行】



トップ縛りでなく、亀甲縛りでお願いします。

菊門縛り(縛れるもんなら縛ってみろ!)でも可。。。
Posted by 変態太刀書房 at 2011年05月20日 15:07
GT界業界の裏事情を垣間見ました…
先日行われたと言う、マンブーキャプテンと善海丸船長、赤侍先輩の飲み会でも、実際は半裸及び全裸の付き合いだったということですね…

読みながら菊門に戦慄が走りました…
Posted by すが at 2011年05月20日 17:15
凄いですね~、食い入るように見ました(笑)最高です。
Posted by ★猫ザト★ at 2011年05月20日 20:04
>rikie先生

えっ〜!まだまだシーズン中でしょう?

終わったの・・・?

先生。先生、申し訳ございません。
リッキー道場太刀魚専攻に、2留決定ですね。


全裸でトップ縛り・・・。

もちろん、リッキー先生も全裸で指導して下さるのですよね!
泣き虫先生より熱い、リッキー熱血先生!

リッキースイミングスクール、そしてリッキージギング虎の穴。

楽しみにしています。

ジギングは、ぜひとも参加したい!
Posted by 巨匠アラーキー at 2011年05月21日 11:19
>アセロラ御大

こらっ!変態!

下品ですよ。

今期はすでにGTを捕獲されたあなたに、
羨望と嫉妬が入り混じっています(笑)

罰として、

OPAの前で、下半身裸で待っていて下さい。

『おしり』チェックします(笑)
Posted by 巨匠アラーキー at 2011年05月21日 11:25
途中までは・・・・・・・・・


サダちゃんの馬鹿っ

ホント馬鹿ッ

変態のコンコンチキ!
Posted by 朔太郎朔太郎 at 2011年05月21日 11:38
>すがちん
>GT界業界の裏事情を垣間見ました…

そうなのです。

どのような世界にも魑魅魍魎な、暗黒の部分があるのです。

すがちんも興味津々なはず・・・。

なぜなら、あの日の釣行でロッドを振っていた私のお尻に、
あなたの熱い視線を感じていました。
変態、このドヘンタイッ!

罰として、次のGTでは

『本物のペ○スカップ』

着用義務を申し付けます。
また行きましょうね!
Posted by 巨匠アラーキー at 2011年05月21日 12:37
>★猫ザト★さん
>食い入るように見ました。

ここにもまた一人、変質者の香りが・・・。


はじめまして、猫ザトさん。

ノーブルな紳士の世界へようこそいらっしゃいました。

猫ザトさん、少々遠慮されていますね・・・。

あなたの本当の欲求は、見るだけではないのでは。


本当は、手で触れて、香りを確認し、
そして味わいたいのでしょう?あの最低な部位を!


わたしは遠慮します(笑)
Posted by 巨匠アラーキー at 2011年05月21日 12:47
>巨大鉄陰茎丸太並朔太郎大菊様

コリャッ、サダちゃんと言ってはダメッ!


噂によると、2年間溜めた物質が爆発したらしいですね。

おめでとうございます、大菊様!
なんか嬉しいですね。


罰として、

次回の記事は、『あなたのお話し』に決定します。


驚愕の真実に、ココロを打ち砕かれて下さい(笑)

来週早々にでもUPします。
Posted by 巨匠アラーキー at 2011年05月21日 12:58
あっ!前回のコメント初でした(笑)よく、スーミーしていたんで、初めての気がしませんでした、よろしくお願いします!

危険な部位を五感で感じる大切な役目は、巨匠アラーキー 先生にお譲りします、ご堪能くださいませ(爆
Posted by ★猫ザト★★猫ザト★ at 2011年05月21日 23:42
>★猫ザト★さん

いえいえ、どうぞ、どうぞ!
ご遠慮なさらずに!

存分に堪能するには、思い切って『自ら差し出す』勢いで楽しんで下さい(笑)
Posted by 巨匠アラーキー at 2011年05月23日 10:22
 
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