Arapedia

調査結果報告書


Ａｃｔ１　依頼者


12月某日、依頼者である「団塊世代の団地妻」とコンタクトをとり、待合せ場所である首里の喫茶店「　ロマンの林　」で彼女と会った。


初対面時の彼女はいささか緊張気味である。変態を前にすると、誰もが緊張するのは当然であろう。


「早速、お話を伺いましょう」


私が話を切り出すと、団地妻はゆっくりと語り出した。


「うちの主人、最近ヘンなのです。夜ごとに出かけては、真っ黒な液汁で下着を汚して帰ってきます。」


なかなかの美人である。しかしどこか陰がある話し方が気になる…。そして、話しが進むにつれて彼女は感情を前面に押し出して懇願をはじめた。


「主人は私が気づいていないと思っていますが、私は心配でしょうがありません！どうかっ、どうか真実を確かめてくださいっ！ハァ、ハァ、フゥ〜。ごめんなさい、ワタシったら…、興奮しちゃって…。」


団地妻は、少々取り乱してしまった自分を隠したいかのように、乱れた髪を整えながら私に謝った。


「かまいませんよ、心配と不安があなたの感情を支配してしまったのでしょう。さっそく調査に取り掛かります。今夜から張り込みますね。」


彼女は会釈をして店のドアを開けたが、最後までその表情から不安は消えなかった。



その夜から、わたしは依頼者の自宅そばの駐車場で張り込みを開始した。

そして、首里の街を暗闇と静粛が支配した深夜12時過ぎ、睡魔にレイプされかけた私の意識を覚醒させる声が、駐車場につながる坂道から響いてきた。


「タシルーも大好き待っててね！タシルーも大好き、待っててね！エヘッ、エヘッ、エヘヘッ」


下半身丸出しの男が、叫びながら坂道を駆け上がってきた。


「なんで大騒ぎしているんだ…、あの変質者は。…んっ!?」



……ヤツだ…。



わたしはターゲット(ヤツ＝赤侍)を追いかけるべく、アストンマーティンDB7のエンジンに火を入れた。


「…ヤツは…。赤侍はどこに向かう？…」


暗闇の街で、赤侍の秘密への非情な追及が始まった。


…クロなのか、シロなのか？


〜続く〜


次回
Act ２
デッドヒート編



赤侍、心の準備はいいか？


次回から画像付き！

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