2010年06月07日
言葉など、いらない時もある。
〜N氏に捧ぐ〜
『紙に書かず、心に書きとどむべし』 byアンティステネス
「…ありがとうございました。」
思い返せば、言葉を押し流そうとする感情を無理に堰き止めて、
ようやく発することができた言葉であったかと思う。
1.N氏
梅雨時期には珍しく気持ち良く晴れた5月25日の朝、
沖縄の釣り雑誌『釣りPower』編集長であるN氏から連絡があった。
「…実は、釣りPowerが廃刊になることが決定しました。
いろいろとお世話になりました…。
私の…、力不足で…、申し訳ございません…。」
電話越しに聞こえるN氏の声に、
晩秋の落陽を見たときのような寂しさを感じた。
自分が世に送り出した作品が消えてしまう…。
クリエーターのN氏からすれば、
濁流に浮かぶ木の葉のように抗うすべも無く流されていく現実に、
やり切れない想いが充満していると思う。
取材・編集・スポンサー集めなど、彼の背中に乗りかかる重圧は、
私の狭小な想像など簡単に凌駕するほどのものであったのだろう。
N氏とは、今から2年ほど前に本誌の企画で出会い、
なぜか縁があって、私の妻が『釣りPower』に魚料理のレシピを掲載させて頂いてからの長いお付き合いである。
私自身も、一度拙文を掲載して頂き、誌面にある自分の写真を見て『嬉しさと照れ臭さ』を体験させてもらった。
何事にもポジティブなN氏は、締め切り間際まで(完全に遅れたこともしばしばあったが…)、『気長』に記事を待ってくださった。
その反面、同行取材や企画などでカメラ片手に走り回っているN氏を見ると、『生真面目で、キチリと仕事をする人だなぁ』と常々思っていた。
さらに、私の所属する沖縄スクイッドジャンキーズの面々も何らかの形で掲載させて頂いており、これまでの『釣りPower』をたどるとチームの軌跡を要所で振り返ることができる、まるでチームのアルバム整理係り的な存在の雑誌(Nさん、失礼!)でもあった。
2.癖
N氏とは、いろいろな思い出がある。
赤侍氏の企画した、『穴ポコ釣り』の取材現場にお邪魔したときのことである。
当日は、まったくといっていいほどロッドが『しなる』事が無く、
まったりとした緩い時間が過ぎていくばかりであった。
深夜のテトラポットの上で、これからの釣り業界のことや自分の目標などを熱く語り続ける赤侍氏の『ユンタクワールド』に耳を傾けながら、ふとN氏に目を向けると、彼は自分の右の乳首を一心不乱に
『コリコリ』とシコっているではないか…。
「Nさん、なんで乳首を掻いているの?痒いの?」
疑問と好奇心の湧き上がるマグマに耐え切れなくなった私は、N氏に質問してしまった。
「いやぁ、良いアイデアが無いか考えるときに、癖でやっちゃうんですよ〜。まったくもって、お恥ずかしい!」
照れながら質問に答えるN氏であったが、一瞬真顔になり、こう打ち明けた。
「おかげで左右の乳首の色が、かなり違うのですよ…。
左は標準色なのですが、右のほうといったら、そりゃもう…。 」
自然界においては、オッドアイなどで聞いたことはあるが、人工的に左右の「色素」を変えてしまう例は珍しい。
変態だ…。
そして彼もまた『ジャンキー』だ。
アイデア中毒。
この言葉が適切に彼を表しているとは思わないが、
私の少ない語彙ではこのようにしか表現できない。
N氏の話を聞いて、赤侍がおもむろにズボンを下ろした。
「えっ〜、
おれの起動ボタンはケツのア(思い出から削除)だぜ。
ほら、ここの色が凄いことになっているだろう?ほれ、ほれッ!」
・・・・。
家に帰ったあと、私は自分の右乳首を『優しく』さすってみたが、アイデア開放のスイッチは入らなかった。
彼の起動ボタンと私のそれは、位置が違うのであろう。
3.熱い想いと未来
そして先日、N氏を囲っての「お疲れ様会」がいつもの居酒屋「なぁ〜た」で行われた。
朔太郎の県記録モンクブ記事、
赤侍氏との奇跡的な出会い、
ボラ・ンアニキの原稿用紙8枚分という挑戦的な自己紹介文、
ゲイの香りが色濃く漂う せいゆうの離島紀行シリーズ、
極めつけは、普通の釣り雑誌にはまず掲載されないであろう
『チェ原国』の恋愛事情など、
3年間の思い出ばなしに皆が沸いた。
宴の途中で行われた、N氏のあいさつの言葉を聞いた面々はきっと同じことを感じたであろう。
彼の辿ってきた3年間の数々の鏤骨と焦慮、そしてなによりも彼が雑誌に対して捧げていた『情熱』を皆が『それぞれの心の書面』に書き遺したはずである。
『釣りPower』は先回号をもって終了する。
このことは釣りというごく小さなフィールドに関係する人物以外には、
日常の些細な出来事にもならないのかもしれない。
しかし、『釣りPower』愛読者諸氏には、
ひとつの大きな区切りとなったであろう。
そして私たちは、N氏の情熱を(簡単に引き継げるほど軽いものではない)承知の上で、敢えて言わせていただこう。
『釣りPower』の思い出は私たちに任せて、
あなたは次の扉を開くのだ!
新しい航路は、その精神をさらに揺さぶるほど険しく、
苦闘に満ちた世界かもしれない。
しかし、あなたなら、あなたが船長だからこそ、船は大きなうねりを突き破り、
目的の場所へと無事に荷物を送り込めるだろう。
『情熱』という全人類が渇望している宝物を。
さぁ、アイデアの起動ボタンを押すジアイだ。
あなたの左右の乳首の色を合わせる絶好の機会でもある。
左人差し指の準備は出来ているかな?
〜終わり〜
追伸
Nさん、3年間お疲れ様でした。
そして『夢のような現実』を私たちに与えてくださって、
ほんとうにありがとうございました、妻も感謝しております。
これからも『仲間』の一員として、喜怒哀楽を楽しみましょう!
そして、あなたの仕事に対する情熱は素晴らしいと今夜再確認し、自分自身も仕事に気合を再注入できました。
そして、なによりも『人とのつながり』を大切にする精神に感動しました。
重ね重ね申します、ほんとうにありがとうございました。
ひとまずは、お疲れ様!
なぜか縁があって、私の妻が『釣りPower』に魚料理のレシピを掲載させて頂いてからの長いお付き合いである。
私自身も、一度拙文を掲載して頂き、誌面にある自分の写真を見て『嬉しさと照れ臭さ』を体験させてもらった。
何事にもポジティブなN氏は、締め切り間際まで(完全に遅れたこともしばしばあったが…)、『気長』に記事を待ってくださった。
その反面、同行取材や企画などでカメラ片手に走り回っているN氏を見ると、『生真面目で、キチリと仕事をする人だなぁ』と常々思っていた。
さらに、私の所属する沖縄スクイッドジャンキーズの面々も何らかの形で掲載させて頂いており、これまでの『釣りPower』をたどるとチームの軌跡を要所で振り返ることができる、まるでチームのアルバム整理係り的な存在の雑誌(Nさん、失礼!)でもあった。
2.癖
N氏とは、いろいろな思い出がある。
赤侍氏の企画した、『穴ポコ釣り』の取材現場にお邪魔したときのことである。
当日は、まったくといっていいほどロッドが『しなる』事が無く、
まったりとした緩い時間が過ぎていくばかりであった。
深夜のテトラポットの上で、これからの釣り業界のことや自分の目標などを熱く語り続ける赤侍氏の『ユンタクワールド』に耳を傾けながら、ふとN氏に目を向けると、彼は自分の右の乳首を一心不乱に
『コリコリ』とシコっているではないか…。
「Nさん、なんで乳首を掻いているの?痒いの?」
疑問と好奇心の湧き上がるマグマに耐え切れなくなった私は、N氏に質問してしまった。
「いやぁ、良いアイデアが無いか考えるときに、癖でやっちゃうんですよ〜。まったくもって、お恥ずかしい!」
照れながら質問に答えるN氏であったが、一瞬真顔になり、こう打ち明けた。
「おかげで左右の乳首の色が、かなり違うのですよ…。
左は標準色なのですが、右のほうといったら、そりゃもう…。 」
自然界においては、オッドアイなどで聞いたことはあるが、人工的に左右の「色素」を変えてしまう例は珍しい。
変態だ…。
そして彼もまた『ジャンキー』だ。
アイデア中毒。
この言葉が適切に彼を表しているとは思わないが、
私の少ない語彙ではこのようにしか表現できない。
N氏の話を聞いて、赤侍がおもむろにズボンを下ろした。
「えっ〜、
おれの起動ボタンはケツのア(思い出から削除)だぜ。
ほら、ここの色が凄いことになっているだろう?ほれ、ほれッ!」
・・・・。
家に帰ったあと、私は自分の右乳首を『優しく』さすってみたが、アイデア開放のスイッチは入らなかった。
彼の起動ボタンと私のそれは、位置が違うのであろう。
3.熱い想いと未来
そして先日、N氏を囲っての「お疲れ様会」がいつもの居酒屋「なぁ〜た」で行われた。
朔太郎の県記録モンクブ記事、
赤侍氏との奇跡的な出会い、
ボラ・ンアニキの原稿用紙8枚分という挑戦的な自己紹介文、
ゲイの香りが色濃く漂う せいゆうの離島紀行シリーズ、
極めつけは、普通の釣り雑誌にはまず掲載されないであろう
『チェ原国』の恋愛事情など、
3年間の思い出ばなしに皆が沸いた。
宴の途中で行われた、N氏のあいさつの言葉を聞いた面々はきっと同じことを感じたであろう。
彼の辿ってきた3年間の数々の鏤骨と焦慮、そしてなによりも彼が雑誌に対して捧げていた『情熱』を皆が『それぞれの心の書面』に書き遺したはずである。
『釣りPower』は先回号をもって終了する。
このことは釣りというごく小さなフィールドに関係する人物以外には、
日常の些細な出来事にもならないのかもしれない。
しかし、『釣りPower』愛読者諸氏には、
ひとつの大きな区切りとなったであろう。
そして私たちは、N氏の情熱を(簡単に引き継げるほど軽いものではない)承知の上で、敢えて言わせていただこう。
『釣りPower』の思い出は私たちに任せて、
あなたは次の扉を開くのだ!
新しい航路は、その精神をさらに揺さぶるほど険しく、
苦闘に満ちた世界かもしれない。
しかし、あなたなら、あなたが船長だからこそ、船は大きなうねりを突き破り、
目的の場所へと無事に荷物を送り込めるだろう。
『情熱』という全人類が渇望している宝物を。
さぁ、アイデアの起動ボタンを押すジアイだ。
あなたの左右の乳首の色を合わせる絶好の機会でもある。
左人差し指の準備は出来ているかな?
〜終わり〜
追伸
Nさん、3年間お疲れ様でした。
そして『夢のような現実』を私たちに与えてくださって、
ほんとうにありがとうございました、妻も感謝しております。
これからも『仲間』の一員として、喜怒哀楽を楽しみましょう!
そして、あなたの仕事に対する情熱は素晴らしいと今夜再確認し、自分自身も仕事に気合を再注入できました。
そして、なによりも『人とのつながり』を大切にする精神に感動しました。
重ね重ね申します、ほんとうにありがとうございました。
ひとまずは、お疲れ様!
tuned by 変態烏賊書房
Posted by 巨匠アラーキー at 10:25│Comments(4)
│た行
この記事へのコメント
釣りPowerのエネルギーは、電子の流れに乗って我々に伝搬するようになるはずですな。
例えばiPadの電子出版みたいな購買方法が普及すればいいのにね。
例えばiPadの電子出版みたいな購買方法が普及すればいいのにね。
Posted by rikie at 2010年06月07日 21:07
我々は決して立ち止まらない!
なぜなら我々の起動スイッチは常にONなのだから
人生は体験なんだ 何でもやってみないことにはさっぱりわからない
だから 手に取るのだ
兆し を手に取ると
挑 むことになる
人生はチャンスと思えたら
挑むしかないのだ
挑戦する勇気が人生を楽しくしてくれる。
さぁ~!!イクゾ
なぜなら我々の起動スイッチは常にONなのだから

人生は体験なんだ 何でもやってみないことにはさっぱりわからない
だから 手に取るのだ
兆し を手に取ると
挑 むことになる
人生はチャンスと思えたら
挑むしかないのだ
挑戦する勇気が人生を楽しくしてくれる。
さぁ~!!イクゾ

Posted by 赤侍 at 2010年06月08日 10:23
>rikie先生
>例えばiPadの電子出版みたいな購買方法が普及すればいいのにね。
そうですね、新聞や雑誌は『紙である必要性』が薄くなっていますから、電子出版の可能性には期待したいですね。
誰か、『釣りPower.net cafe』でも立ち上げないかなぁ〜。
…あっ、いるじゃないですか!
リッキー先生、お願いします!
>例えばiPadの電子出版みたいな購買方法が普及すればいいのにね。
そうですね、新聞や雑誌は『紙である必要性』が薄くなっていますから、電子出版の可能性には期待したいですね。
誰か、『釣りPower.net cafe』でも立ち上げないかなぁ〜。
…あっ、いるじゃないですか!
リッキー先生、お願いします!
Posted by 巨匠アラーキー at 2010年06月08日 11:18
>赤侍先輩
>なぜなら我々の起動スイッチは常にONなのだから
いつも熱い赤侍先輩!
んっ?先輩は時々スイッチOFFになっておられますが…。
…眠り病。(笑)
あの日は、なんか良い夜でしたね。
これからも燃えて行きましょう!
ところで先輩、日記は?(笑)
>なぜなら我々の起動スイッチは常にONなのだから

いつも熱い赤侍先輩!
んっ?先輩は時々スイッチOFFになっておられますが…。
…眠り病。(笑)
あの日は、なんか良い夜でしたね。
これからも燃えて行きましょう!
ところで先輩、日記は?(笑)
Posted by 巨匠アラーキー at 2010年06月08日 13:31
<ご注意>
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