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2010年04月02日

SABERING A GO! GO!2

「何事につけても希望することは、絶望するより良い。
  可能なことに限界を設けることは、誰にも出来ないのだから。」

  byヨハン・ゲーテ(作家・詩人 ドイツ)




…ドラゴン。



メーターオーバー、指6本〜、大型サイズの太刀魚。
一般的な呼び方ではなく、アングラー独自の俗語である。



前回までのあらすじ

私と赤侍は「ドラゴン」を仕留めるために、南部のタチウオハンターrikie氏のホームである「太刀魚地獄」の門を叩いた。

初日、rikie氏の超ハイテンションな釣りに圧倒された私たちはきっちりと撃沈を喰らう。
我々は翌日の対策を話し合い、次回釣行に向けてのチェックリストの項目を消し込んでいった。

さらに、翌日の赤侍氏には「超まうすりん」 縛りでの釣り対決をおこなう
魚種格闘技戦」での 宿敵・中部青タイツ変態SHIN との初戦というプレッシャーのおまけも付いている。


ドラゴンの尻尾すら捕まえることが出来ずにいた私たちの気持ちには、
当り前に焦りのスイッチが入った。
二日目の朝、私は所有するシーバスハンターのフックをシャープナーで砥ぎ、
赤侍氏は秘密兵器の持ち込みを画策していた。


頬を打つ生温かい南風が、ドラゴンの気配を隠そうとする。


起死回生を狙う赤侍氏が持ち込んだ秘密兵器とは…、
そしてrikie氏のハイテンションは成層圏を越える勢いで上昇を続ける。



1.Attack in waves


次の日の夜、rikie氏の待っている太刀魚ポイントへ車を走らせている私は少々焦りを感じていた。

やはりというかなんというか、急な残業に右足をロックされてしまい、前日に打合せした ジアイである 21時前後 には確実に遅れてしまう…。

さすがに2日連続の撃沈はご遠慮申し上げたいところであるが、

今日も

ジアイを逃した感

がたっぷりと漂い始めている。

フロントガラス越しに、
不規則なリズムで点滅を繰り返すテールランプを見つめながら考える。

「先行しているであろう赤侍氏やrikie氏にはすでに釣り上げたのであろうか?」

徐々に近づくジアイのタイムリミットと、
一台前を 「30km/h」 でのんびり走る日産マーチが、
「常に冷静」を身上とする私の精神に揺さぶりをかける。


「また信号に引っかかった…。
 なんであのクルマの運転手はかなり空いている50キロ制限の県道を
  30キロ で走っているのだ?
 そして、なぜこのタイミングでブレーキを踏むのだ? 
 ・・・あぁ、右折するのか。
  …んっ!なんで指示器を消して直進するのだ!」


ようやく日産マーチが右折の体制に入り、精神的な波状攻撃が終了を向かえた。


しかし車載の時計の針が22時を指しているのを見てしまった瞬間、
私は今日のジアイの終了を感じた。


おばさん。明日・・・、免許証返してこい・・・。
運転はしなくてもいい、もう楽になったほうが良い。


普段ならそれほどの憤りを感じない些細なストレスが、
大量に流れ込んだ土砂のように大きな不満として堆積し、
分厚い地層を形成してしまう。

・・・これは、完全にやられている。

そう、ドラゴンに。





2.秘密兵器


ようやくに到着し、ポイント「地獄の門」へ足早に急ぐ。
初日に行った計測では約8分でポイントに到着できる、
小走りならば4〜5分程度であろう。


私は久しぶりに 「長い5分間」 を経験した。


ポイントに到着し、ルアーをキャストした直後の赤侍氏に声をかける。
そしてリールを巻きながら、赤侍氏はあごで左手後方を指しながら低い声で呟いた。


「・・・あんなことになってるぜ……。」


指し示された場所に視線をやると、
そこには 「魂が砕かれる光景」 が広がっていた。



SABERING A GO! GO!2
rikie氏ブログ「rikieつながり」より無断転載




「トゥナァァ〜〜イ アム ゴナ トゥマセェ〜〜 ハバ グッタ〜〜ィ 

 

イエスッ、 アラーキーッ、 イエェェェェェェェェスッ!


さっそく、こんなことになっちゃってますよ!なっちゃてますよ、なっちゃって まっ すっ よっォォォォォ!!   

おっきいペンギン!おっきいペンギン!
おっきぃぃいペンギィィィィィンッ!! 



・・・・・・・・rikie氏、すでにフルスロットル。


足元に転がる『獲物』を見下ろすと、
その日のジアイを逃した事実が末端神経から発せられて、
私の脳幹へと伝わる。

そして私の副腎から洪水のように放出されていた
アドレナリンの分泌が急速に低下していく。


「今日も終わったのか・・・。」


そう考えたときに、rikie氏の後ろに小さな人影が見えた。


「こんばんは、赤侍Jrです。小学校3年生です…。」


少々緊張気味ではあるがしっかりとした敬語を使うこの少年こそ、
今夜の赤侍氏の準備した秘密兵器 「長男」 である。


「おい、ちゃんとアラーキーにあいさつしたか?」


息子に声をかける赤侍氏をみて、
普段は 「しっかりとした父親」 であることを認識できる。
いつもは少々危うい言動の多い赤侍氏が、
Jrにとっては頼れる父親であることに人類の営みを感じた。

子どもは親の姿をみて育ち、
そして成長した子どもが親になり、
子どもを育てるという輪廻を…。


小さな秘密兵器を交えて、私たち4人はキャストを繰り返した。




3.攻略は遥か遠く



キャストを繰り返していると、
私はこのポイントの 「アタリ」 の特性に気付いた。

あまりにも「小さいアタリ」ということである。

このアタリからヒットに持ち込むことは、
よほどの集中力と反射神経を必要とされるくらい小さくその数も少ない。

向こう合わせというものもあるだろうが、

「ラッキーパンチ」

程度の感覚でいたほうが良さそうである。



しばらくキャストを繰り返していると、再びあの男の声が響き渡る・・・。


グゥ~~~~ッド 
 イブニィィィィィィィィン!!! 

 オゥケェ~~~ィイ  
 タクラマカンッッ!!!  



深夜の静粛を、一気にブロードウェイに変えてしまうハイトーンボイス・・・。

rikie氏のルアーには、ヘッドライトの反射で鋭く光る太刀魚が噛み付いている。


オォ~ウ! ジュ~ニィアァ~!

 これが太刀魚なんだよ! タッチーなんだよ!!
 タァァ~ リッキィィ~~~!!!!! 


「・・・お父さん。あれ、・・・・凄いね。」


赤侍Jrがrikie氏の圧倒的なパフォーマンスの前に、
口をアングリさせて父親に声をかけた。


そして、少し風が冷たく感じてきた深夜0時ー。


私たち3人のロッドはとうとう曲がることなく、ロッドバンドが巻かれてしまった・・・。


「これはヤバイぜ・・・・。」


ポツリとつぶやく赤侍の言葉から生まれた「プレッシャー」という陰鬱で湿り気のある重量物が、赤侍と私の両肩にその爪を食い込ませていた・・・。


ポイント「地獄の門」は重圧に押しつぶされそうな我々を少し高い位置から見下ろすかのごとく、闇夜の黒い水面を少しだけ反射させる。


・・・・明日が、勝負だ。





~続く~




次回予告

・卒業

・リッキー先生暴走

・ナイチャーナイトとイナカーナイト



その一言からすべてが始まった・・・。
予感が実感となり、忍耐は絶望の淵を彷徨う。
私は光明を見出すことが出来るのであろうか?

と言うか、このままでは「話しが終わらない」のですが・・・・。

tuned by 変態烏賊書房



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Posted by 巨匠アラーキー at 10:25│Comments(9)さ行
この記事へのコメント
地獄の門を突破するには、まず、日夜日参し投げるルアーをあたかもそこに居着きのベイトの如くドラゴンに認識させる必要がある。

そしてチャンスを待て。

風と潮が同じ方向に流れる時、門は開かれるだろう。北風なら下げ潮、南風なら上げ潮である。

ある日、潮止まりに雨が降り、防波堤を越える東風が海面の潮目にさざ波を作るとき、ドラゴンは現れるのだ!

by 地獄の門番
Posted by rikie at 2010年04月02日 12:42
rikie待っててねって
絶対待ってないと思う…。
Posted by 知公 at 2010年04月03日 10:02
これはヤバいぜ…
リッキーの顔を思い出そうとするが
パッツンタイツのランニングで顔が太刀魚だ~
Posted by 赤侍 at 2010年04月03日 12:11
>rikie先生
>そしてチャンスを待て。


先生、もう待てませんっ!

最近は、仕事にかまけて『修練』を怠けがちでした。

そろそろ全開で行きます!
Posted by 巨匠アラーキー at 2010年04月03日 13:39
>カメ知公さん
>rikie待っててねって
>絶対待ってないと思う…。

リッキーもそうですが、太刀魚も待ってくれない気配が漂っています…。


了承を頂くことなど全くしていませんが、知公さんも、次回登場していますよ。

ちなみに、リッキー先生はピタピタのタイツ姿ですが、あなたは『全裸』です。
Posted by 巨匠アラーキー at 2010年04月03日 13:45
>赤侍さん

えっ、忘れた?

うそでしょう?

なぜなら、あなたの言う出で立ちは、リッキー先生の『そのまんまの姿』じゃないですか!


唯ひとつ違うところは、股間を太刀魚に噛ませていないところだけです。
Posted by 巨匠アラーキー at 2010年04月03日 13:53
> 巨匠アラーキー

4/4(日)干潮3:09/90cm、北東4m

本日深夜~明日の未明にかけての
地獄の補習をする覚悟があるのか?

今晩のダービー打ち上げは、やむを得ず1次会で失礼しなければならない。

クルマの中にはタイツを忍ばせておる。
Posted by rikierikie at 2010年04月03日 16:48
rikieさん乗ってるし(笑)

全裸・・・
事実を伝えるのがマスコミュニケーションですよ、
アラーキーさん。

大きいペンギンって何だ(爆)
Posted by 知公 at 2010年04月04日 00:21
> 知公さん!

鏡を見たことないんですか!?
あなたは全裸ですよ!(爆)
Posted by rikie at 2010年04月04日 00:55
 
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